化学機械平坦化 (CMP)
早期に介入することにより、コストのかかる歩留まりの変動を防ぎます。
先端ノードの化学機械平坦化 (CMP) アプリケーションでは、スクラッチ欠陥がプロセスの歩留まり性能に悪影響を及ぼす可能性のあるスラリー砥粒の凝集によって引き起こされることがよくあります。インテグリスの技術により、オンラインでリアルタイムに、直接プロセス流体中の粒子サイズの分析を行うことができます。早期に介入することにより、コストのかかる歩留まりの変動を防ぎます。
AccuSizer® (アキュサイザー) SPOS システムは、CMP スラリー中の粗大粒子を検出するための最も精密で高感度なシステムと認められています。レーザー回折は分布の平均サイズをよく測定できますが、SPOS 法はテール部や粗大粒子に対して数百倍もの感度があります。
CMP スラリーの粒子サイズと個数分析
凝集/粗大粒子 (> 1 µm 以上) は半導体ウェーハの研磨に微小なスクラッチを生じさせ、大きな損害を与える可能性があります。
CMP スラリーの平均粒子径はほとんどが百 nm のオーダーですが、相対的に少量の大きな粒子が混入することによってウェーハが使えなくなることがあります。光学的検知技術 (Single Particle Optical Sizing:SPOS) は、こうした粒子がウェーハにダメージを与える前に、優れた精度で個別に粒子のサイズを決定し、カウントすることができます。
SPOS では、粒子が 1 つずつセンサーと集束したビームを通過します。粒子がレーザー光を通過するときに、光が遮断されてフォトダイオードが光量の低下を記録します。この光量の低下は、粒子の断面積に比例します。インテグリスでは SPOS 技術を採用したさまざまなアキュサイザー システムを提供しています。オンラインシステムは簡便で正確な測定を提供し、ベンチトップシステムは小規模な研究プロジェクトに適しています。
このヒストグラムは、凝集した酸化セリウム CMP スラリーの SPOS での測定結果を示しています。粒子径分布のこの部分を、「テール部」と呼びます。この分布には、1 µm 以上の粒子が約 700 万個/mL、2 µm 以上の粒子が約 22,000 個/mL含まれていました。粒度分布測定装置アキュサイザーは、従来の動的光散乱や光回折では解決できなかった試料に関する高分解能の情報を得ることができます。
最近の実験では、シリカ系 CMP スラリーに 1 µm のPSL 粒子を添加し、1 µm の PSL 粒子を含むスラリーと含まないスラリーの両方を アキュサイザー FX ミニ システムで分析しています。推定した添加濃度は、約 5,000 個/mLでした。結果を以下に示します。
CMP スラリーのフィルター試験
CMP スラリー中の粗大粒子数を減らすため、フィルター試験を実施しました。
アキュサイザー APS システムを使用して、Planargard® (プレナガード) NMB01 フィルターと NMB03 フィルターのろ過前後のセリア系 CMP スラリー中の粒子を分析しました。インテグリスのアプリケーションラボで、アキュサイザー APS とアキュサイザー FX-Nano を使って、CMPフィルターの除去性能を試験しました。アキュサイザー FX-Nano システムでは集光ビームを採用しており、センサーを通過する粒子数が大幅に減少します。この機構により、より高い感度と測定可能粒子数が実現します。粒子サイズの測定下限値が小さくなり、測定限界濃度が高くなります。このシステムは、事前希釈ができないオンライン アプリケーションに最適です。
図に示されているセリア系スラリーのろ過結果は、2 µm までの粗大粒子で、わずかながら違いが認められます。2 µm 以上の領域では、基本的にすべての粗大粒子個数が除去されました。CMP スラリー中の凝集粒子のサイズと個数を測定するこの機能は、時間とコストの節約につながる知見を得ることができます。アキュサイザー FX-Nano システムにより、従来の SPOS テクノロジーが一段高い水準に引き上げられ、オンライン処理に必要とされる感度と信頼性が提供されます。
CMP フィルターのモニタリング
フィルター交換を最適化することで、コストが削減でき、不要なダウンタイムを防止できます。
研磨工程で使用する CMP スラリーの状態をモニタリングし、管理することは必要不可欠です。 アキュサイザー ミニ 粒度・濃度分析装置は、スラリー供給システムのいくつかのポイントでろ過を最適化するために使用されています。アキュサイザー ミニ システムは、供給ラインのフィルター下流側やユースポイントに配置可能です。
ある使用例では、アキュサイザー ミニ システムを供給ラインのフィルター下流側に配置し、フィルター交換が必要な時期を判断しています。右に示すような結果が得られることから、最適なフィルターの交換時期を判断できるようになります。研磨装置に供給するスラリー中の粗大粒子を低減し、必要な時にフィルター交換できるため、コスト削減につながりました。アキュサイザー ミニ をユースポイント用フィルターの下流側に設置し、粗大粒子が少ないことをさらに確認することも可能です。


セリア系 CMP スラリーのモニタリング
アキュサイザー システムは優れた再現性と統計的信頼性を提供します。
酸化セリウム (セリア) を基剤としたスラリーは、集積回路 (IC) 製造のさまざまな CMP アプリケーションにおいて幅広く使用されるようになってきました。ある試験では、アキュサイザー ミニ システムがセリア系 CMP スラリーの粒子径と濃度を正確に測定し、粒子分布に対するテール部の有無を判定できることが証明されました。
セリア A に、より大きな粒子の長いテール部を持つセリア B を 1 % (図 1) および 10 % (図 2) 添加しました。図 1 と図 2 の結果は共に、テール部に対する高い検出感度と、多くの粒子を測定することによる統計上の信頼性に裏付けられた優れた再現性が得られることを示しています。
Figure 1: Ceria A and ceria A spiked with 1% ceria B
Figure 2: Ceria A and ceria A spiked with 10% ceria B