ナノ粒子
Nicomp® (ナイコンプ) DLS システムは、プロセスでのオンライン測定やラボで、ナノ粒子のサイズを効率的に測定できます。
ナノ粒子の一般的な定義は、1 nm から 100 nm の粒子です。これは ISO 規格 27687 と ASTM 規格 2456-06 で定義されています。一方、EU では、個数分布のおよそ 50 % が 1 nm から 100 nm でなければならないという文言が使用されているため、この定義はより曖昧となっています。動的光散乱 (DLS) は最も一般的なナノ粒子サイズの分析法です。 Nicomp® (ナイコンプ) DLS システムは、プロセスでのオンライン測定やラボで、ナノ粒子のサイズを効率的に測定できます。
ナノ粒子サイズのオンライン分析
さまざまなナノ粒子製造プロセスを、ナイコンプ N3000 オンライン DLS システムでモニターできます。
ナノ医療の研究はこの数十年ドラッグデリバリーの技術の進展とともに急速に発達しています。ナノ粒子を用いるメリットには、薬剤毒性や副作用の軽減などがあります。ナノ粒子のサイズをコントロールする技術はとても重要です。一方で製品の粒子サイズを測定する技術はラボスケールのもので、製造現場で粒子サイズを計測する技術が必要とされています。
製造の現場で粒子サイズを追跡するためにナイコンプ N3000 オンラインシステムが様々なお客様で使用されています。オンラインシステムは製造プロセスの中からサンプルを分取し、多重散乱の影響を避けるために適切に希釈し、測定していきます。測定サイクルは 2 分程度で完了し、製造工程をモニタリングしているプロセスエンジニアに粒子サイズの情報を連続して提供します。
ナイコンプ N3000 オンライン DLS システムはマサチューセッツ州ケンブリッジにある BIND Therapeutics (バインド・セラピューティクス:2016 年に破産、資産は米 Pfizer 社に売却) 社の高圧ホモジナイザーの後に設置され、エマルションのサンプルを 2 分毎に取得し、測定します。測定データは、X 軸に粒子サイズ、Y 軸にホモジナイザーの圧力の形で出力します。


次の実験では初期の粒子径が、ターゲットより 5 ~ 7 nm 小さく計測されたので、圧力を 6.89 MPa 下げる操作を行いました。その操作の後のデータでは粒子径が 5 ~ 10 nm 大きく観測されました。

極微小粒子のサイズ測定
動的光散乱は、10 nm 未満の粒子径を確実に測定できる唯一の光学的粒子径測定法です。
DLS は、ナノ粒子の粒度分布を測定するために長年かけて確立された標準的な手法です。10 nm 未満の粒子径を確実に測定できる唯一の光学的粒子径測定法です。
図 A は、その精度を表しています。この図の PSD は、市販されている Buckminster Fullerenes (C60) または「バッキーボール」懸濁液から得たものです。C60 の資料に記載されているサイズは 14 Å (1.4 nm) でした。平均粒子径分布は平均直径が 1.3 nm の単独ピークからなり、予想値に非常に近いものです。DLS ならではの分析性能をさらに見てみましょう。
図 B は、同じ C60 の別のロットからの PSD を示しています。2 番目のピークが 200 nm で存在していることがわかります。このピークは合成過程において非晶質炭素のコンタミが生じたことから現れたものと思われます。DLS は正しいサイズの最初のピークを選別したうえで、汚染のピークを検出することができました。

図 A

図 B