非経口薬
非経口薬中の微小粒子の検出
非経口薬は静脈、皮下、筋肉に注射することで体内に直接送達されます。注射剤中の微粒子の測定は USP <788> に規定されていて、 アキュサイザー SIS システムを適応できる一般的なアプリケーションです。同じシステムは点眼剤用の USP <789> 試験 および、タンパク質注射剤用の新しい USP <787> 試験でも使用できます。
脂肪乳剤の球状粒子のサイズ分布を測定する USP <729> 試験では、アキュサイザー APS (メソッド 2 に適用) や ナイコンプ DLS システム (メソッド 1 に適用) のようなシステムが必要になります。
USP <788> 粒子数カウント
患者に注射して投与する非経口薬は、基本的に可視粒子が含まれていないことが望ましいとされています。非経口剤における目に見えない微小粒子は、光遮蔽式パーティクルカウンターか、フィルターを使用した顕微鏡検査、またはその両方を使用して検出します。光遮蔽式粒子測定検査は、個別の医薬品承認基準で指定されていない限り、100 mL を超える大容量の注射に適用されます。この試験は、個々の医薬品承認基準で粒子状物質の試験が必要とされている場合、100 mL 未満の無菌固形物を含む溶液または溶液から構成された溶液の単回投与または反復投与の注射に適用されます (少量の非経口剤)。
アキュサイザー A2000 SIS システムは、以下を含むすべての USP <788> のシステム要件を満たしています。
- メソッド:光遮蔽法
- センサー濃度限界
- センサーのダイナミックレンジ
- 試料容量精度
- キャリブレーション方法 センサー分解能
- 粒子カウント精度

試験手順
USP <788> の内容に従って、サンプリングと液体、必要に応じてサンプルストレージを使用します。また、必要に応じて脱気を行います。サンプルのビーカーをアキュサイザー A2000 SIS システムに置き、測定を開始します。測定はすべて自動で行われます。平均粒子数/mL が基準をを超えない場合、医薬品としての要件を満たします。
> 10 µm | > 25 µm | |
SVP | 6000 | 600 個/容器 |
LVP | 25 | 3 個/mL |
試験結果
アキュサイザーのソフトウェアを使用すると、測定用にプールされた容器の容量/容器数などの試験および製品の詳細を入力することができます。以下に示す USP <788> の結果のレポートが、テストの完了時に自動的に生成されます。そのほかにも、センサー分解能や USP カウント試験の結果などのレポートが自動的に作成されます。
平均粒子数がこの限界を超えた場合、ユーザーは顕微鏡法による粒子数測定を行う必要があります。このアキュサイザー A2000 SIS システムには、従来のパーティクルカウンターに比べて以下のような利点があります。
- 512 チャネルを検出できる高い粒子分解能
- 粒子径範囲の改善でコンタミの特定が容易
- センサー性能の向上
- 微小粒子の検査が可能なダイナミックレンジの拡大
- 0.5 ~ 400 µm の範囲を標準的なセンサーでカバー
USP <787> 治療用タンパク質注射剤におけるサブビジブル粒子
治療用タンパク質注射剤におけるサブビジブル粒子試験を規定した新しい USP <787> は、USP <788> を補完するものです。USP <787> は治療用タンパク質注射剤を対象としており、小容量バッチの製品と小容量試験バイアルのために変更されています。 アキュサイザー SIS システムは、以下の理由から USP <787> 試験を行ううえで最適な機器と言えます。
- LE400 センサーの広いダイナミックレンジ:0.5 ~ 400 µm
- 光学式 FX Nano センサーにより、測定下限が 0.15 µm まで拡大
- 150 µL の小容量試料に対応
- ソフトウェアの進化により多くの機能を自動化
- USP <787> 試験の自動化とレポートの自動作成
- センサー分解能試験の自動化とレポート自動作成
- USP カウントスタンダード試験の自動化とレポート自動作成
- ガラスの製品清浄度試験の自動化とレポート自動作成
- オートサンプラー:アキュサイザーと A2000 MPA マイクロプレートアナライザーの両方に搭載可能
- 最大 512 サイズのチャネル
- オプションのサンプルレポート
LE400 センサーを搭載したアキュサイザー SIS システムは USP <787> 出荷検査に最適です。デュアルセンサー式の FX-Nano システムはタンパク質凝集試験で使用します。測定下限が 150 nm に広がったことで凝集動態の研究に新たな視点をもたらします。
USP <729> エマルションサイズ試験
大きなサイズの脂肪乳剤の油滴 (> 5 µm) は肺塞栓につながる恐れがあります。またエマルションの不安定化の指標にもなるため、脂肪乳剤のサイズは非常に重要です。USP <729> 試験には、2 種類の分析手法が必要です。粒子分布の平均偏差と標準偏差を測定する DLS (動的光散乱) 法と、5 µm を超える大きなテール部を測定する光遮蔽法です。
メソッド 1:DLS 法による粒子分布の平均と標準偏差:
- システムの評価試験には PSL 標準粒子 100 nm、120 nm、400 nm を使用
- 変動係数 (COV) は基準値の 10 % 未満であること
- 測定した試料の強度加重分布の平均粒子径 (粒子サイズが 500 nm 未満であること) のレポートを作成
メソッド 1 試験に最適な機器が ナイコンプ N3000 システムです。
メソッド 2:光学的検知方式 (Single Particle Optical Sizing:SPOS 法) による粗大粒子 (> 5 µm) の検出
- 希釈試験を行い、サンプル間誤差 COV 10% 未満を達成
- 5 µm および 10 µm で粒子径の測定精度とカウント精度をテスト
- 粒子径と個数が規格値の 10 % 以内であること
- 測定する粒径の下限値を 1.8 µm、上限値を 50 µm に設定
- 測定時間を変化させて 2 回の測定を行い、2 回の測定で 5 µm 以上の粒子数の合計の差を少なくとも 2 倍にする
- 体積加重分布で 5 µm 以上の粒子 (PFAT5) が 0.05 % 未満であること
メソッド 2 試験に最適な機器が アキュサイザー APS システムです。
USP 試験の自動化
USP 試験はすべて、オートサンプラーまたはアキュサイザー A2000 MPA マイクロプレートアナライザーを使用して自動化できます。オートサンプラーは一般的な USP <788> 試験用に設計されているのに対し、A2000 MPA は小容量の USP <787> 試験用となっています。
右がインテグリスのオートサンプラーです。