タンパク質
Nicomp® (ナイコンプ) DLS および AccuSizer® (アキュサイザー) SPOS の両システムは、タンパク質のサイズ、凝集、表面電荷 (ゼータ電位) の測定によく使用されます。
ナイコンプ DLS システムは、0.1 mg/mL リゾチームのように極小サイズで低濃度での単量体、二量体、三量体を測定できる高い感度を備えています。アキュサイザー SIS システム は、新しい USP <787> 試験に準拠したタンパク質凝集の測定に使用できます。デュアルセンサーを搭載したアキュサイザー FX Nano システムは、わずか 150 µL の試料を使用して最小 0.150 µm までのタンパク質のサイズと個数を測定できる唯一の光学式粒子カウンターです。
タンパク質の凝集サイズ/濃度
アキュサイザー SPOS は、USP <787> に準拠した医療用注射剤中の微小粒子を測定するための理想的なシステムです。
アキュサイザー FX-Nano は、より微細な、高濃度なタンパク質凝集体を定量化するために設計された光学的粒子検出 (SPOS: Single Particle Optical Sizing) システムです。これは、0.15 ~ 0.6 µmを測定する FX-Nano センサーと、0.5 ~ 40 µm を測定する LE400 センサーの 2 つのセンサーによって実現されます。FX-Nano センサーは、集束ビームを使用してサンプル検査容量を減らし、センサーの濃度限度を高めます。このセンサーは、150 µL という少量のサンプル量に対応できるように改良された SIS サンプラーと組み合わせて使用します。凝集したタンパク質は、ダイナミックレンジ全体をカバーする 2 つのセンサーによって一度に一つずつカウントされ、サイズ計測されます。アキュサイザー FX-Nano は USP <787> に準拠した医療用注射剤の微粒子の測定に最適なシステムです。

実験例 1
実験例 1:免疫グロブリン G 型 (IgG、1 %) を調製した後、凝集させ、ろ過前 (青) とろ過後 (赤) のサンプル中の粒子を測定しました (0.2 μm フィルター) 。ろ過後、濃度は 9.7 x 108 個/mL から 3.1 x 108 個/mL に減少しました。アキュサイザー FX-Nano は、凝集したタンパク質のテール部分の減少をはっきりと数値化し、ろ過前との違いを簡単に明確化することができます。
実験例 2: 免疫グロブリンG型 (IgG) をインキュベーションの前後で測定しました。この結果では凝集したタンパク質のテール部分が時間とともに変化していく様子がわかります。

実験例 2
DLS を使用してタンパク質の安定性を解析する
タンパク質の特性の解明はこれからますます重要になります。これはヒト遺伝子の研究の進展により、治療特性を備えたタンパク質や特定の疾患に関与する動態を備えたタンパク質の発見につながるためです。
ウシ血清アルブミン (BSA) は分子量が 69,000 Da のタンパク質で、タンパク質研究で一般的に使用されています。BSA を適切に分散させることは、きれいな粒度分布を得るために重要です。図 1 は、ろ過した蒸留水で希釈した生理食塩水中の 35 % BSA の粒度分布を示しています。サンプルは、希釈液から大きな粒子の汚染物質を除去するために、特別なガラス製サンプルチューブを使用して 2 分間遠心分離しました。このチューブは、遠心分離機から直接粒度分布測定システムにそのままセットできます。
この光散乱強度加重分布表示に見られるように 2 つのピークがあります。1 つは 6 nm の BSA、もう一つは 40 nm の凝集体 (ダイマー、トリマーなど) で、全体の 40 % を占めています。図 2 は、同じ BSA を生理食塩水で希釈した粒度分布です。依然として 2 つのピークがあり、粒度分布の一次粒子径は約 7 nm ですが、凝集体のピークはより大きく約 50 % です。最後に、図 3は同じ BSA を PBS で希釈したものです。粒子径の分布は大きく変化しており、一次粒子径が約 10 nm まで大きくなっています。

図 1

図 2
これらの結果は、BSA の分散にとって化学的な条件が非常に重要であることを示しています。

図 3