リポソーム
Nicomp® (ナイコンプ) DLSシステムと AccuSizer® (アキュサイザー) SPOS システムを使って、リポソームのサイズとゼータ電位を測定します。
リポソームは脂質二重層を少なくとも 1 つ有する、薬物送達に使用される球形小胞です。ほとんどのリポソームは、インテグリスの ナイコンプ DLS システムなどの動的光散乱 (DLS) 技術を使用して測定されます。より大きなリポソームは、これまで、光学的粒子検出 (SPOS) 技術を使用した弊社の アキュサイザー SPOS システムを使用して広く分析されてきました。
リポソームは化学療法薬剤を腫瘍部位に運ぶドラッグデリバリーシステムの担体として、医薬品業界で日常的に使用される二重層小胞です。非極性鎖に結合した極性基を持つリン脂質からなり、そのリン脂質が自己集合して、水相に面する極性基と球形を形成する非極性部を持つ二重層小胞になります。医薬用の使用においては、通常、医薬品有効成分 (API) はその親水性に応じて、リポソームの親水性ポケットに組み込まれるか、脂質二重層の間にサンドイッチ状に挟みこまれます。
リポソームは薬剤の性状を特徴づける中心的な役割を担います。
リポソームの粒子サイズとリポソームに添加される薬剤の量は、医薬品の薬物動態特性と薬力学的特性においてきわめて重要な役割を果たします。そのため、リポソームのサイズを正確かつ迅速に測定することは、新規のより効果的なドラッグデリバリーシステムの開発に不可欠です。多くのリポソームは 1 µm 未満で、粒子サイズを測定する最も一般的な技術は動的光散乱 (DLS) 法です。ナイコンプ DLS システムは世界中で正確なリポソームの粒子径分析に使用されています。より大きなリポソーム (> 1 µm) にはアキュサイザー SPOS システムを使用できます。リポソームはその構造/粒子径または製造工程によって分類できます。
- 小型単層小胞 (SUV)
- 大型単層小胞 (LUV)
- 多層小胞 (MLV)
- 多小胞 (MVV)
- オリゴラメラ小胞 (OLV)
- 中型単層小胞 (MUV)
- 巨大単層小胞 (GUV)
- 巨大多層小胞 (GMV)
測定例:SUV
SUV の電子顕微鏡写真 (左図)。ナイコンプ DLS による SUV の測定結果:0.1 µmで一回ろ過 (右図)。
リポソームの種類
ナイコンプとアキュサイザー システムを使って広範囲のリポソームサイズを決定する方法が日本で文書化されたという報告があります。 DOPC (ジオレオイルホスファチジルコリン) と DOPG (ジオレオイルホスファチジルグリセロール) をリン脂質として使用してリポソームを作成しました。MLV、SUV と SMV、LUV と LMV、および GUV と GMV は、それぞれ Bangham 法、超音波処理法、改良された逆相蒸発法、および糖ドープ脂質膜水和法で調製しました。1 µm 以下のリポソームのサイズ分布をナイコンプ DLS システムで測定し、アキュサイザー A2000 システムで 1 µm 以上のリポソームを測定しました。
測定例:GMV
GMV の位相差顕微鏡写真 (左図)。アキュサイザー SPOS による GMV の測定結果:10 µmで一回ろ過 (右図)。