等電点 (IEP)
粒子分散の等電点 (IEP) は、ゼータ電位がゼロとなる pH の値です。
IEP の測定
粒子分散の IEP は、懸濁液の凝集とエマルションの相分離につながる、最も安定性の低い状態です。IEP の判定は、 Nicomp® (ナイコンプ) DLS 粒子サイズおよび ゼータ電位分析機の一般的なゼータ電位分析アプリケーションです。
ゼータ電位 とは、粒子表面の電荷を表す基準です。ゼータ電位は界面化学の関数であり、pH、塩分、界面活性剤の濃度によって影響を受けます。IEP は、ゼータ電位がゼロとなる pH であり、粒子 (液滴、分子など) の表面が帯電していないことを意味します。IEP を測定することで、分散の安定/不安定を予測でき、改変した粒子の表面における支配的な化学的パラメータを同定できます。
IEP 試験は以下のような状況で役立ちます。
- 分散安定性の最適条件の予測
- 混合粒子の表面上での支配的な化学的パラメータの同定
- タンパク質の IEP は、保存安定性や、ゲル電気泳動をはじめとするプロセスにおいて重要です。
ナイコンプ Z3000 システムを使用して、試料を滴定し、ゼータ電位を pH の関数として測定することでIEP を求めることができます。ナイコンプ Z3000 システムの IEP 測定例では、エマルション (Coffee mate®(コーヒーメイト、一般名:コーヒーフレッシュ)) とタンパク質 (ウシ血清アルブミン) を使用しました。
タンパク質の IEP
ナイコンプ Z3000 システムを使用すると、タンパク質のサイズだけではなく、その IEP も判定できます。ウシ血清アルブミン (BSA) のアンプルを Sigma Aldrich 社から購入し、純水で 1:100 に希釈しました。下の 図 A では、体積加重分布で表示した平均粒子径が 5.5 nm であることを示しています。さらに 25 nm 以下の凝集体も検出されました。IEP を判定するために、この BSA 溶液を 0.1M の水酸化カリウムで pH 8 に調製し、0.01 M 塩酸で滴定して最終的に pH 3.75 にしました。このゼータ電位を読み取った結果が 図 B です。BSA の IEP は pH 5.07 とわかりました。
図 A
図 A
図 B
Coffee mate® (コーヒーメイト、一般名:コーヒーフレッシュ) の IEP
等電点 (IEP) は、ゼータ電位がゼロとなる時の pH 値です。 IEP は ナイコンプ Z3000 システムを使用して、試料を滴定し、ゼータ電位を pH の関数として記録することで求めることができます。Coffee mate® 0.1 g を、200 mL の純水に混ぜて調製しました。この試料をマグネチックスターラーに置き、試験中、絶えず攪拌しました。新しく較正した pH プローブを懸濁液に浸潤しました。塩酸 0.1 N を滴下し、pH を変えました。pH が安定した後に、試料を注射器で採取し、ゼータ電位セルに注入しました。3 回のゼータ電位測定を行い、pH に対する平均値をプロットしました。結果はグラフをご覧ください。
この試験で、コーヒーメイト懸濁液の IEP は pH 4.26 であることが判明しました。